2021.11.10更新
「洗濯洗剤はたくさんあるけど、肌に優くて安全性の高い洗剤はどれなんだろう」と思ったことはありませんか?洗濯用の洗剤は、洗っておしまいではありません。乾いた後の衣類の臭いを嗅ぐと、石鹸や柔軟剤の香りがしませんか?それは、衣類に微量な洗剤や柔軟剤が付着しているということ。それが汗に混ざって皮膚から経皮吸収されると、皮膚の弱い方はかぶれや痒みを伴うことがあります。
とくにアトピー肌の方や小さなお子様がいる家庭では、これだけたくさんある洗濯洗剤の中から安全性の高いものを選ぶのは大変ですよね。
今回は、洗浄力もあり、肌への刺激が少なく、赤ちゃんでも安心して使える洗濯洗剤をご紹介します。
ただ、洗浄成分が肌に優しいとしても、大切な衣類がシワになったり風合いが損なわれると台無しです。ですから、この記事では
- 安全性の高い洗濯洗剤の選び方
- 自宅で洗ってOKな衣類とダメな衣類の見分け方
- いつもよりしっかり汚れを落としたい時や、消臭したい時に使う添加剤について
- ウールが縮まないように洗うための2つのポイント
- 硬水地域の方が石鹸で洗濯をしたいときの洗い方
など、日頃の洗濯に役立つ情報までご紹介します。それでは早速みていきましょう。
1.安全で洗浄力のある洗濯洗剤の選び方
安全で洗浄力のある洗濯洗剤を選ぶポイントはシンプルに2つ。
一つは余計な成分が入っておらず、「皮膚への刺激が少ない洗浄剤」を使用していることと、二つ目はきちんと汚れを落とすために「洗浄力の高いもの」です。
1-1.刺激の少ない成分
洗濯洗剤で有名なのは、「強力洗浄!強力消臭!強力漂白!」が特徴の、アタック・アリエール・トップです。これらの主成分は、
- 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)
- ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)
- ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)
といった洗浄力や起泡力、乳化力に優れた界面活性剤です。
ただ、これらはタンパク質変性の作用もあり、皮膚への刺激はやや強め。さらに水酸化ナトリウム(アルカリ剤)・亜硫酸ナトリウム(安定剤)・シリコン(泡調整剤)・エタノールアミン(安定剤)蛍光増白剤・抗菌剤・香料・着色料など、様々な添加物が含まれているため、皮膚が弱い方や赤ちゃんの洗濯に使うにはやや心配です。
より安全性の高いものを求めるのであれば、脂肪酸ナトリウム(石鹸)や非イオン界面活性剤などで構成された低刺激な成分と、純粋に「洗浄」の目的のみの成分で作られている無添加の洗濯洗剤を選びましょう。あれこれ添加物が入っていない洗剤は生分解にも優れているため、環境にも優しい製品と言えます。
1-2.洗浄力が高いもの
お肌に優しいのは大事ですが、そもそもの洗浄機能もしっかり果たしてくれないとですよね。
無添加系の洗浄剤は皮膚への低刺激さを求めすぎて、汚れが落ちにくいものも多いです。
汗や皮脂よごれ、食べこぼしなど、日常的に付着する汚れはほぼ酸性なので、アルカリ性の洗剤で汚れを浮かせて落としていくのですが、濃度が薄いと中和されるだけで石鹸カスとなり、衣類がベタベタしたり、黄ばみの原因になってしまいます。
私も以前はそれを知らずに石鹸成分が25%の食器用洗剤で食器を洗っていましたが、どうもヌルヌルして油汚れが落ちませんでした。
よくある洗濯用の「液体石鹸」の場合、純石鹸成分が30%以下のものが多く、アルカリ濃度が低すぎて汚れが落ちにくいです。
ですから、特に衣類の洗剤として使う場合は石鹸であれば40%以上の高濃度のものや、助剤を入れてアルカリ性の高い洗剤を使う必要があります。
※あまりアルカリ性が強くても色落ちや変形のリスクがあるため、各メーカーから推奨されている使用量の目安は守りましょう。
または非イオン界面活性剤のように酸性やアルカリの影響を受けずに汚れを落とせる洗剤が最適です。
ちなみに、純石鹸は濃度40%を超えてくると液体は保てず固形(粉)になるため、洗濯で使う場合は必ず「攪拌」させる作業が必要になります。とくにドラム式の場合は少ない水量で洗うため、あらかじめぬるま湯で溶かしてから出ないと溶け残りが出やすいです。
粉石鹸の詳しい使い方は、【徹底解説】洗濯石鹸で失敗しないための簡単な使い方をご覧ください。
2.お子様からお年寄りまで安心して使える洗濯洗剤6選
では、今お伝えした二つの条件をクリアしている洗濯洗剤をご紹介していきます。
- ココナツ
- ソネット ナチュラルウォッシュリキッド
- Zum Clean
- コアラッククリーナー
- シャボン玉スノール2.1Kg
- 無添加 お肌のための洗濯用粉石鹸1.0Kg
- パックスナチュロン 純粉せっけんN
ココナツからコアラッククリーナーまでの洗剤は洗浄力は高いですが泡立ちが少ないため、ドラム式、縦型どちらでも使えます。シャボン玉スノール以降の粉石鹸もきちんと攪拌させればどの洗濯機でも利用できます。
※ご紹介していく順番は、安全性や洗浄力が高く日常的に使いやすい順番で掲載しています
※価格は変動する場合があります
2-1.ココナツ
ココナツは、ヤシ油100%から作られた天然植物性由来の非イオン界面活性剤。
その安全性と高品質が高く評価され、環境志向や安全志向の高い学校や病院、工場など数多くの施設で採用されています。
ココナツの魅力は大きくわけて4つ。
1)お肌に優しい
・石油系界面活性剤を含まない100%ヤシ原料・植物性の洗浄成分
・香料・蛍光増白剤・酸化防止剤・エデト塩酸などの添加剤を含まない無添加洗剤
・溶け残りや残留洗剤の心配がない
2)高い洗浄力
・少ない泡で洗浄力があるため、ドラム式でも利用できる
・静電気の発生を抑えることで、黄ばみや黒ずみを防ぎ、外気のホコリや花粉が付着しにくい
3)天然の除菌・消臭効果
・部屋干しのイヤな臭いを抑える
・除菌作用により、衣類の虫食いを予防できる
・洗濯した後の洗濯槽を清潔に保つ
4)イオンの影響を受けない
・耐硬水性に優れているため、硬度の高い地域でも通常どおり使用できる
・ウールやシルクなどの動物性繊維でも風合いを損ねない
※ウール等は洗い方があるので、詳しい方法はこの章の下記4-3をご覧ください。
5)環境に優しい
・少量で高い洗浄力があるため、節水効果あり
・7日間でほぼ完全に(99%)生分解されるため、環境への負荷が少ない
・天然原料を使用しているため、水生生物に与える負荷(魚毒性)も最小限
「無添加で安全性が高い」だけでしたら他の洗剤でも代用は効きますが、「洗浄力の高さ」「除菌効果」「静電気を抑える」「節水効果」など、まさに万能洗剤。
他にも、食器洗いやキッチン周り、冷蔵庫、電子レンジの掃除に使えば、除菌や消臭効果が得られます。カーシャンプーとして利用すれば、塗装を傷めず洗浄でき、ホコリの吸着も予防できるなど、汎用性が高いのも魅力。ココナツは私がここ10年以上、色々使った中で最も優秀な洗剤といえます。
ただ、一つだけ難点なのは、粘度が非常に高いということ。
高すぎて洗剤の自動投入口に入れても、なかなか出てきてくれないので、毎回手動で洗剤を入れる必要があります。それもとにかく粘性があるので、必要量が出てくるのにも時間がかかりますし、「ここまで」と切り上げようと思ってもトルコアイスのようにずっと伸びているのでなかなか切れてくれませんw
※「アルキル硫酸エステルナトリウムはPRTR法に指定されていて毒性が強い」と表記しているサイトがありますが、平成20年11月21日更新の最新版では指定されていないのでご安心ください。
用途:綿・合成繊維・麻・レーヨン・毛・絹・アセテート
液性:非イオン界面活性剤
成分:脂肪酸アルカノールアミド 85% アルキル硫酸エステルナトリウム 15%
容量:4ℓ
価格:¥2,350 1mlあたり0.58円(アマゾン価格)
2-2. ソネット ナチュラルウォッシュリキッド
ソネットは、1960年代に起きた石油系合成洗剤による水質汚染問題に心を痛めた科学者の思いから、水と自然を守りたいという願いと込めて、オーガニック洗浄剤の先駆者として1997年にドイツに設立されました。
原料選びや製法はかなりこだわり抜いており、「オーガニック=生き物を大切にする」を第一条件に製造しています。
ソネットのこだわり
1)お肌に優しい
・石油化学系、準石油化学系の界面活性剤不使用
・酵素、着色料、保存料、蛍光増白剤など、人体や環境に有害な物質は一切不使用
・溶け残りや残留洗剤の心配がない
・天然エッセンシャルオイルをはじめとして、オリーブ油、ヤシ油、菜種油、パーム油、エタノールまで、バイオダイナミック農法やオーガニック栽培の認定を受けた植物原料を使用
2)高い洗浄力
・石けんだけでは、水に溶けにくく、特有の油臭さ、衣類の黄ばみ、石けんカスの発生などの欠点があるため、安全で生分解性に優れたヤシ油由来のアルコールの硫酸塩とオリゴ糖界面活性剤を使用
・少ない泡で洗浄力があるため、ドラム式でも利用できる
・洗浄力の高さは第三者機関による試験済
3)天然の除菌・消臭効果
・部屋干しのイヤな臭いを抑える
・除菌作用により、衣類の虫食いを予防できる
・洗濯した後の洗濯槽を清潔に保つ
4)環境に優しい
・100%生分解する原材料のみを使用
・使用した後の排水が少しでも早く自然に還るように、自然界のリズムを利用した独自の製法を採用(オロイド製法)
・ソネットで使用するエネルギーは、工場に近い水力エネルギープラントから直接供給されるグリーン電力のみ使用
・暖房はハンディキャップを持つ人々のための工房「キャンプヒル・レーベンホフ」と共同運営しているウッドチップが原料の設備から取得
上記の通り、人や環境すべてを考えて安心して使えるのがソネットの洗剤です。
「洗浄する」という機能だけでなく、有機ラベンダーエッセンシャルオイルが使用されているため、干している時のリラックス効果が高く、衣類の消臭、防虫効果もあるという大変バランスの良い洗剤です。
先ほどご紹介した「ココナツ」と比べると非イオン界面活性剤ではないので「静電気を抑える」「硬水地域でも使用できる」といった効果はありませんが、静電気は柔軟剤で対応できますし、なによりソネットは粘性が低く、洗濯機の自動洗剤投入が使えるのが大変便利です。
用途:綿、麻、レーヨン、合成繊維
液性:陰イオン界面活性剤
成分:水、脂肪酸カリウム、アルキルグルコシド、アルキル硫酸エステルナトリウム、エタノール(植物性アルコール)、ヒマシ油硫酸ナトリウム、クエン酸カリウム、 香料(ラベンダー、ジプテロカルプスツルビナツス木油)、オロイド混合剤(安定剤)
容量:2ℓ
価格:¥2,406 1mℓあたり1.2円(アマゾン価格)
ボトルは英語表記で計算も手間かと思うので、目安を記載いたします。
水の硬度は「soft」汚れの具合は「normal」の場合で計算すると、程よく泡立ちがあってちょうどよかったです。
22L-30ml / 38L 50ml / 50L 70ml / 62L 85ml / 72L 95ml
2-3. Zum Clean
Zum Cleanは、100%天然のココナッツオイルから生成された洗濯洗剤で、リン酸塩、塩素、石油化学物質、合成物、染料などの化学薬品は一切含まれていません。そのため、赤ちゃんやお肌がデリケートな方の衣類も安心して洗濯ができます。
高濃度で洗浄力が高く、こちらも自動洗剤投入にも入れられるので使い勝手がとても良いです。
また、ラベンダーの精油が含まれているため、天然の良い香りが部屋いっぱいに広がってリラックス効果が高いのと、衣類に対しても抗菌、防虫効果があります。他にはオレンジ、ティーツリーシトラス、フランキンセンス&ミルラ、フランキンセンス&パチュリ、シーソルトといったさまざまな香りがあるため、お好みでセレクトできます。
他の洗剤と比べるとやや高級ですが、安全性、使いやすさ、精油による効果などを考えるととても良い洗剤だと思います。
用途:綿・合成繊維・麻・レーヨン
液性:陰イオン界面活性剤
成分:ココ酸ナトリウム(100%ココナッツオイル鹸化)、重曹、精油、グリセリン
容量:940mℓ
価格:¥2,588 1mlあたり2.75円(アマゾン価格)
2-4. コアラッククリーナー
コアラックリーナーは、環境保護への意識がとても高いオーストラリアで開発された洗剤で、ヤシの実、アーモンド、大豆、ココナッツ、菜種、ごま、とうもろこしの植物油から精製されています。石油系界面活性剤、塩素系漂白剤、蛍光剤等の化学薬品類が一切含まれいていないため、敏感肌の方から赤ちゃんまで安心して使用できます。また、コアラッククリーナーで浮かせた汚れの周りにはコロイドという膜が形成されるため、衣類への再吸着を防ぎます。こちらもサラサラの液状なので、洗剤の自動投入口を普通に利用できます。
ただ二つ難点があり、一つは全成分を公表していないということ。HPを調べると悪用を防ぐために非公開にしているそうなので、「詳細がわからないのは心配」という方にはおすすめできません。サイトには天然系高級アルコール(陰イオン)、商品のパッケージには「ヤシ油類」とだけ記載されており、ヤシ油から抽出される「アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム」は含まれているようです。
事業者の方であれば計量証明書(有害な物質は含まれておらず、安全な基準を満たしていますよーという書類)を送ってもらえるそうですが、そこまで用意できるならきっと安全な成分でしょうと思って私も購入してみました。実際に使用するとビックリするくらい泡立たないので「本当に洗えてるのかな?」とやや不安になりますが、調べるとまぁそうゆう成分みたいですね。泡立ちが少ない分ドラム式洗濯機でも普通に使えるのは良いかと思います。
もう一つの難点は、長期間使用していると特有のにおいがすること。最初のうちは気になりませんでしたが、何度もこちらで洗っていると、洗剤特有のにおいなのか、「無臭」というわけではないのでそれがやや気になります。基本的に口コミ評価は高い洗剤なので、以上二点が大丈夫という方は使用してみても良いかと思います。
用途:綿・合成繊維・麻・レーヨン
液性:陰イオン界面活性剤
成分:アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム その他詳細不明
容量:4ℓ
価格:¥6,480 1mlあたり1.62円(楽天価格)
2-5.シャボン玉スノール2.1Kg
シャボン玉石けんは、1910年創業。当初は合成洗剤を販売していたところ、1974年に国鉄(現JR)から「合成洗剤で機関車を洗浄するとサビが出るので、天然油脂で作った純度の高い石けんが欲しい」と依頼されたことをきっかけに無添加石鹸の製造販売を開始。
原料は天然のグリセリンが取り除かれていない、牛脂・パーム油・米ぬか油などの油脂を使用しているため、保湿成分が残り、柔らかな洗い上がりになります。
「シャボン玉スノール2.1Kg」は純石鹸99%のため、洗浄力が高く、小さいお子様でも安心してご使用いただけます。また、石鹸の粉一粒一粒に空気の穴が空いており、粒子も細かいためダマになりにくく、水に溶けやすいのが特徴です。
もちろん香料・蛍光増白剤・酸化防止剤・エデト塩酸などの添加剤を含まない無添加石けんなので、木綿・化学繊維だけでなく、麻、ウール、シルクなどのおしゃれ着洗いやベビー服でも使えます。
用途:綿・合成繊維・麻・レーヨン・毛・絹・アセテート
液性:弱アルカリ性
成分:純石けん分(99%脂肪酸ナトリウム)
容量:2.1kg
価格:¥1,255 1gあたり0.59円(アマゾン価格)
2-6. 無添加 お肌のための洗濯用粉石鹸1.0Kg
ミヨシ石鹸は、創業120年。19世紀(明治の初め頃)に横浜でスタートしました。
原料は、国産の牛脂、大豆油、なたね油、オリーブ油、インドネシアやマレーシアから仕入れたパーム核油と水酸化ナトリウムで石鹸を作ります。
調理用の油脂などを製造している、グループ会社のミヨシ油脂から直接仕入れた高品質な油脂を使用しているため、無臭に近い石けんが作られています。
「無添加 お肌のための洗濯用粉石鹸1.0Kg」は純石けん分98%なので洗浄力が高く、助剤を入れなくても石鹸カスが出来にくいです。
こちらも無添加の洗剤なので、ベビー服からおしゃれ着洗いまで安心して使えます。
用途:麻・綿・合成繊維・麻・レーヨン・毛・絹・アセテート
液性:弱アルカリ性
成分:純石けん分(98%脂肪酸ナトリウム)
容量:1kg
価格:¥881 1gあたり0.88円(アマゾン価格)
※類似品で「ミヨシのせっけん(粉石けん) 3kg」がありますが、こちらは成分表には純石けん分(60% 脂肪酸ナトリウム)、アルカリ剤(炭酸塩)と記載されていますが、実際にミヨシに問い合わせたところ、純せっけん60%、炭酸ナトリウム(炭酸塩)36%、残り4%がケイ酸ナトリウム(洗浄力補助成分)、EDTA-4ナトリウム(変質防止成分) 、香料(マスキング成分=原料臭を覆う)、水(機能維持成分)で構成されているため、今回の記事では掲載しておりません。
2-7.パックスナチュロン 純粉せっけんN
太陽油脂は大正8年に横浜で創業。石油由来の油脂は一切使わず、太陽光発電の装置を利用してパームやヤシなどの植物から天然油脂を抽出。これらは化粧品はもちろんのこと、アイスクリームやお菓子、揚げ物の原料として幅広く使われています。とにかく自然な製法にこだわり、炭酸塩(助剤)などの添加物は無配合。ベビー服からおしゃれ着洗いまで安心して利用できます。
用途:麻・綿・合成繊維・麻・レーヨン・毛・絹・アセテート
液性:弱アルカリ性
成分:純石けん分(99%脂肪酸ナトリウム)・1%不けん化成分
容量:1kg
価格:¥974 1gあたり0.97円(アマゾン価格)
3.自宅で洗ってOKな衣類とダメな衣類
ここからはお役立ち情報をいくつかご紹介します。
そもそも家で洗ってはダメな衣類があるので、その違いだけはまず把握しておきましょう。
私も以前はなんでも洗濯機でジャブジャブ洗えばいいやと思っていましたが、その結果、
・シワだらけになった
・縮んでしまった
・型くずれした
・テカリが出た
など、ダメにしてしまった衣類が多々ありました。せっかく気に入って購入した衣類ですから、大事に使いたいですよね。
まずは自宅で洗って良いものと、クリーニングに出したほうが良いものをきちんと仕分けしましょう。
3-1.クリーニングに出したほうが良いもの
以下は全て、自宅で洗うと型崩れしやすいものです。
スーツ・ネクタイ・コート・学生服・プリーツスカート・ドレス・ブランド品・着物 |
特に購入価格が1万円以上するブランド品は、単にデザインだけの問題ではなく、繊細な素材が使われて扱いが難しいこともあります。そのため、長く愛用したいのであればクリーニング店に出すほうが懸命です。
クリーニングに出す必要のある洗濯表示
参照:アクロン
クリーニングにも「ドライクリーニング」と「ウェットクリーニング」の二種類があります。
ドライクリーニング
ドライクリーニングは、いわゆる一般的なクリーニングです。
ドライクリーニングでは、型崩れや縮み、風合いの変化を出さないために水を一切使わず、「石油系溶剤」や「揮発性有機溶剤」という油を溶かす溶剤を使用。皮脂や化粧品、チョコレートなどの油汚れが落ちやすいという特徴があります。
この動画を見ると、ドライクリーニングがいかに生地に負担をかけずに洗えるかが一目瞭然ですね。ちなみに、ドライクリーニングで使用した溶剤の臭いがやや付着している場合もあるので、クリーニングから返ってきたら、ビニール袋からはすぐに出しましょう。日本は高温多湿なのでカビ予防にもなります。
ウェットクリーニング
ウェットクリーニングは、本来はドライクリーニングが必要な衣類に、汗や食べこぼし、醤油、飲料、血液などの水溶性の汚れが付着している場合に、型崩れや縮み、風合いの変化が出ないように丁寧に洗う水洗うクリーニング法です。
自宅での洗濯と異なり、専用の洗剤とプレス機を使用するため、しっかりと汚れが取れて型崩れの心配もありません。
ただ、かなり手間のかかる洗い方なので、ウエットクリーニングをする場合はプラス¥1,000程度の追加料金がかかりますが、スーツやコート、着物やドレスなど、長く愛用したい衣類はウェットクリーニングを利用するのも一つです。
3-2.自宅で洗える衣類
クリーニング表記がなく、「万が一風合いが損なわれたとしてもまぁいっか」と思えるのものはなんでも自宅で洗濯できます。
自宅で洗える衣類の洗濯表示
参照:花王
気をつけなければいけないのは、シルク・カシミヤ・ウール・レーヨン・キュプラ・革・スエード・麻などの素材です。
これらは水や摩擦に弱く、繊維が縮んだりシワになりやすいため、中性洗剤(おしゃれ着洗い)で優しく手洗いするのが基本です。洗う時の温度、圧のかけ方、脱水方法、干し方、シワの伸ばし方など取り扱いに手間がかかるため、お気に入りのものや、値段が一万円以上するような高価な衣類であれば、念の為クリーニングに出したほうが無難でしょう。
4.上手な洗濯の仕方
洗濯物は、汚れの状態や地域の水質、素材によって洗い方が異なります。
ここでは、いつものお洗濯よりちょっと汚れが多い時、除菌や消臭までしたい時、シャツやタオルの白さをさらに際立たせたい時などプラスアルファの仕上がりを求めたい時や、硬水地域にお住まいの方で石鹸を使いたい時、ウールが縮まないように洗いたい時など、上手に洗濯をするコツをお伝えします。
4-1.汚れが多い時や臭いを緩和させたい時は漂白剤
通常の洗濯で落ちない汚れや臭いがある場合は、漂白剤を使いましょう。
漂白剤は塩素系と酸素系に分かれていて、それぞれ漂白力や使用できる衣類が異なります。
漂白剤一覧
分類 | 酸素系漂白剤 | 塩素系漂白剤 | |
成分 | 過酸化水素 | 過酸化水素Na | 次亜塩素酸Na |
形状 | 液体 | 粉末 | 液体 |
Ph | 弱酸性 | 弱アルカリ性 | アルカリ性 |
漂白力 | 弱 | 普通 | 強 |
洗えるもの | 白色・色柄繊維 | 白色・色柄繊維 | 白色繊維 |
洗えないもの | 金属製の付属品 (ファスナー等) |
毛・絹 金属製の付属品(ファスナー等) |
色柄繊維・毛・絹 金属製の付属品(ファスナー等) |
特徴 | 漂白力弱め 除菌・消臭効果 油汚れに弱い |
漂白力高め 除菌・消臭効果 油汚れに強い 血液のシミにも使用可 洗濯槽のカビとりにも使用可 |
漂白力高め 除菌・消臭効果 油汚れに強い 特有の臭いがある 生地を傷めやすい |
①酸素系漂白剤(液体)
酸素系漂白剤の液体タイプは、漂白力は少し弱めですが、生地にも優しいため、粉末タイプや塩素系漂白剤では洗えない毛や絹も洗えます。色柄ものを洗った時でも、黄ばみやシミにだけ反応してくれるため、衣類を仕分けする手間も省けます。
除菌・消臭効果もあるため、衣類の臭いや生乾きの臭いを抑えるのにも有効です。
液体であれば、直接垂らして部分的な汚れを落とすのにも使いやすいです。
②酸素系漂白剤(粉末)別名:過炭酸ナトリウム
酸素系漂白剤の粉末タイプは、液体タイプに比べて漂白力が高めで、消臭・除菌効果があります。そのため、お洗濯にはもちろん、お風呂掃除・食器洗い・除菌などいろいろな場面で使うことができます。
ツーンとした臭いがしないため、ベビー用品や台所用ふきんなどの除菌としても◎。
また、洗濯槽のお掃除として、ステンレスであれば、水筒やコーヒーポットの茶渋とりとしても利用できます。
汚れが強い時はつけおき洗い(液体・粉末共通)
汚れや臭いが強い時は、40度〜50度のお湯で30分〜2時間つけおきするのが最も効果的です。
※2時間以上は生地が傷むので控えましょう。
液体と粉末の使い分けとしては、洗剤だけでは落ちない汚れや臭いを落としたい場合は液体、黄ばみ・黒ずみなどの染み付いた汚れがある場合は粉末を使うと良いでしょう。
参照:花王
③塩素系漂白剤
塩素系漂白剤は衣類の色まで脱色してしまうほど強力な漂白剤のため、色柄ものには使わないようにしましょう。浸けおきで漂白する時は、2時間以上浸すと生地を傷めるので注意が必要です。
また、除菌・消臭効果も高いので、衣類だけでなくキッチンやお風呂場、トイレの掃除など幅広く利用できます。
※塩素系漂白剤は「まぜるな危険」と表記されていますが、酸性タイプの製品と混ぜると有害なガスが発生します。
漂白剤を入れても衣類の臭いがとれない時は?
もし酸素系や塩素系の漂白剤を入れても衣類の臭いが取れない場合は、洗濯洗剤の量に対して洗濯物の量が多いのが原因かもしれません。
洗濯は水流を利用して汚れを落とすので、多くても洗濯槽の7割程度が限界です。
衣類が多すぎると汚れが落ちないために衣類に雑菌が繁殖しやすくなるだけでなく、洗濯機の故障の原因にもなりますので、あまり詰め込みすぎないように気をつけましょう。
4-2.白いものをさらに白く見せたい時は蛍光増白剤
汚れやシミを落として白く見せたい場合は「漂白剤」、白いものをさらに白く見せたい時は「蛍光増白剤」を使用しましょう。蛍光増白剤には汚れを落とす作用はありませんが、干すときに紫外線を吸収すると青紫色に発色して白く見えます。
参照:シャボン玉石けん
白い衣類やタオルは、白さを際立たせるために染色工程で蛍光染料を添加して白くしていることがほとんど。洗濯しているうちに蛍光増白剤は少しずつ落ちるため、白さを保ちたい場合は蛍光増白剤を定期的に入れることも一つです。
蛍光増白剤はあくまで添加物で単品では売っていないので、使いたい時は「蛍光増白剤入りの洗剤を使用しましょう。個人的には添加物のようなものは好きではないので、「青白くしたい!」までこだわりがなければ使わなくて良いかなとは思います。
蛍光増白剤の注意事項
・絹や毛、レーヨン、麻などの天然素材は、素材の風合いを変えてしまう可能性あり
・色褪せることがあるので、白色の素材のみに使用する
・汚れを取ろうと思って漂白剤と一緒に入れると、白色からピンクなどに変色することあり
・食品衛生法 では食品添加物として認められていないため、台所用ふきんや赤ちゃん用のスタイなど、口に触れる可能性があるものへの使用は禁止
4-3.ウールが縮まないように洗うための2つのポイント
セーターやマフラーなどのウールは冬場にご家庭でもよく着る素材ではありますが、洗い方を間違えるとどんどん固く縮んでしまいます。「おしゃれ着洗いを使えば大丈夫でしょ?」と思うかもしれませんが、ウールが縮む原因は、①水の温度と②繊維が絡んでしまうことにあります。
ウールには20〜30度が適温で、それより高くても低くても縮みやすくなります。またウールの表面は、スケールといわれるキューティクルと同じようなうろこ状の構造。水に濡れるとこのスケールが開き、さらに圧が加わるとスケール同士が絡みついて硬くなってしまいます。この2点を気をつけて洗う手順は下記の通り。
ウールが縮まないように洗う方法
①20〜30度のぬるま湯に中性洗剤を入れて、5分程度かるく押し洗いをする。
※絶対に揉まない
②同じ温度のお湯で2分程度すすいだら、バスタオルで優しく水分を吸い取る。
※脱水機にかける時は、ネットに入れて15〜20秒
③形を整えて、平干し&陰干し
※ハンガーにかけると繊維の網目が伸びて型崩れする
この方法で洗えば、毛玉や毛羽立ちを防いでふんわり感をキープできます。
万が一縮んでしまったら、アイロンの蒸気をかけると繊維がふっくらと元に戻りますのでご安心を。ただ、今読んでいて「めんどくさいな〜」と思ったあなた、クリーニング屋さんにお任せしましょう。
ちなみに、おしゃれ着洗いは中性洗剤がよく用いられますが、国民センターが行った実験(95年10月号:たしかな目参照)によると、シルク・カシミヤ・ウール・レーヨン・麻の5種類を、ドライ洗剤・おしゃれ着洗い・ドライクリーニングの3種類の手法で洗った結果、
- 型崩れや変色、退色はいずれもなかった
- カシミヤと絹は手触りがやや硬くなった
- ウール以外の素材は5%縮んだが、アイロンをかけて事実上ほぼ元どおりに直った
とのこと。さらに、ドライ洗剤6種類のうち3種類が弱アルカリ性であり、試験結果が中性洗剤と変わらなかったことから、おしゃれ着洗いは弱アルカリ性の洗剤で洗っても問題ないということが分かりました。ただ、万が一風合いを損ねるといけないので、心配な方は中性洗剤を使いましょう。
おしゃれ着洗いを使ったら、柔軟剤は必要?
必要ありません。おしゃれ着用の洗剤は、繊維の滑りをよくするためのコーティング剤が含まれているため、別途柔軟剤を入れる必要はありません。ただ、「お気に入りの香りをつけたい」などがあれば使用するのも一つです。
4-4.硬度60以上の地域にお住いの方は石鹸での洗濯は不向き
硬度50以下の地域はミネラルが少ないので、石鹸で洗濯をしても特に問題ありませんが、海外や沖縄などの硬水地域にお住いの方で石鹸を使うと、石鹸カスが発生しやすく、汚れが落ちにくくなります。
炭酸塩(強いアルカリ剤)を入れれば水の硬度は軟化しますが、洗濯機の中でミネラルを分離すると炭酸カルシウムの結晶は鉄よりも硬いので、洗濯機のモーター軸や、排水バルブを痛め、故障の原因になります。また、石鹸と炭酸塩を同時に入れると先に石鹸とミネラルが結びついて石鹸カスになってしまうため、意味がありません。
ですから、硬度60以上の地域の方で石鹸での洗濯は不向きです。どうしても石鹸を使いたい場合は、下記の流れで硬度を下げてから洗濯をしてください。
①お風呂の残り湯100Lに対して炭酸塩大さじ3を入れて2時間待つ
※分離するまでに時間がかかるので最低2時間は待つ
②上澄みをすすぎ1回までは使う
③浴槽のそこに沈んだ炭酸カルシウムを掃除する
※固まってしまったらクエン酸で溶かすと取りやすい
はい、かなり手間です。または軟水装置をつけるのも一つですが、安くても2万〜20万相当はかかるので、「絶対石鹸派!」というこだわりがそこまでなければ、「ココナツ」や「コアラッククリーナー」のような石鹸以外の洗剤を使うほうが無難です。
なぜ硬水になるの?
日本は急勾配の地形が多く、地中に水が溜まっている時間が短いですが、欧米では平坦な地形が多く、地中に溜まって石灰岩の層を通り抜ける間にミネラルが多く溶け出すことで硬水になります。
WHOの硬水基準
・軟水:硬度 0〜120未満
・硬水:硬度 120以上
お住まいの地域がどのくらいの硬度か知りたい方はこちら
まとめ
いかがでしたでしょうか。
それでは、安全性の高い洗濯用の洗剤についておさらいしていきましょう。
1.安全できちんと汚れが落ちる洗剤の選び方
①刺激の少ない成分
皮膚の弱い方や、赤ちゃんには水酸化ナトリウム・亜硫酸ナトリウム・シリコン・蛍光増白剤・香料・着色料など、様々な添加物が含まれていないものが安心
②洗浄力の高いもの
純石鹸はアルカリ濃度が低い状態で使うと「石鹸カス」が付着して、ベタベタしたり黄ばみの原因になるため、石鹸成分が40%以上のものか、助剤を足してアルカリ濃度を高めましょう。または非イオン界面活性剤のように酸性やアルカリの影響を受けずに汚れを落とせる洗剤が最適です。
- お子様からお年寄りまで安心して使える洗濯洗剤6選
①ココナツ
②Zum Clean
③コアラッククリーナー
④シャボン玉スノール2.1Kg
⑤無添加 お肌のための洗濯用粉石鹸1.0Kg
⑥パックスナチュロン 純粉せっけんN
どれも洗浄力は高いですが、界面活性剤の刺激が少なく、完全無添加なので、いつものお洗濯だけでなく、おしゃれ着洗いやベビー服も安心して洗えます。
- 自宅で洗ってOKな衣類とダメな衣類
クリーニングに出したほうが良いものは、スーツ・ネクタイ・コート・学生服・プリーツスカート・ドレス・ブランド品・着物。
シルク・カシミヤ・ウール・レーヨン・キュプラ・革・スエード・麻は水や摩擦に弱く、繊維が縮んだりシワになりやすいため、中性洗剤(おしゃれ着洗い)で優しく手洗いするのが基本。
4.上手な洗濯の仕方
①いつもより汚れが多い時や、臭いを緩和させたい時は漂白剤
・全体的に汚れを落としたい、消臭したい時は酸素系漂白剤の液体タイプ
・部分的なシミを落としたい、除菌・消臭効果がほしい時は酸素系漂白剤の粉末タイプ
・最も高い漂白、除菌、消臭効果が必要な時は塩素系漂白剤
②白いものをさらに白く見せたい時は蛍光増白剤
③硬度60以上の地域にお住いの方が石鹸で洗濯をしたい時は炭酸塩を使う
④ウールを上手に洗うポイントは、20〜30度の水で、圧をかけないこと
ちなみに、最近の私のお気に入りは「Zum clean」のラベンダー。なんといっても使いやすい!洗剤の自動投入機からそのまま適量が出てきてくれますし、ラベンダーの精油効果で衣類への抗菌、防虫もあって、干しながらリラックスできるという最強洗剤です。ココナツの静電気が防げて外気の汚れがつきにくいのも捨てがたいですが・・安いし。うーん、結論、ココナツがサラサラ素材になって精油が入ったら最強ということですね。w
あなたも実際に使ってみて、お気に入りの洗剤が見つかるといいですね!この記事を、あなたの洗濯ライフに少しでも役立てて頂けたら幸いです。
参考文献
奥山春彦・皆川基編著「洗剤・洗浄の事典」朝倉書店
花王生活文化研究所編「洗濯の科学」裳華房
辻薦著「洗浄と洗剤」地人書館
CERI化学物質評価研究機構
高硬度での洗濯用液体石けんの洗浄力と過炭酸ナトリウムの併用の効果
クリタック株式会社
ロルカ
石鹸百貨
暮らしの科学部・企画開発部
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